アイランドピーク登頂記
遠藤 桂氏は登山を愛し、1980年に冬期ヒマラヤ解禁と同時にアイランドピークに遠征、登頂を果たしている。 この物語は、若き日の遠藤 桂が経験したノンフィクション・ストーリ−である。





トランジット

AI309便、GATE25、SMOKING SEAT 23E

BOARDING PASSを持ちサテライトへ。
NON TAXで購入したグレンフィディック(グリーンの三角形のウイスキー)、ハンカチ、マルボロ1カートン、今ではこんな土産は買いませんが、なんせ、はじめての海外遠征。何も知らないのです。
山の先輩の話を聞いて、こんなものがいいんだろうと。

成田14時30分発、香港18時20分着。
ここ「トランジット」
19時30分香港発。ようは乗り継ぎ便のことです。
たしか機種はボーイング727だと思いました。
燃料の入れ替えやなんやらでと思っていたのですが、各駅停車の旅なのです。
私にすれば、ただで「香港の100万ドルの夜景」を楽しめるスペシャルな遠征です。
ドブのような匂いが立ちこめる空港でした。
確かに12月といえども、赤道に近付くと蒸し暑く、匂いも鼻に感じるようになります。
 たった1時間10分。
乗り降りをひくと45分くらいですが、もう心は踊る踊る。
楽しくてウキウキ、ドキドキ何を見てもはじめての事だらけ、感受性とはまさに若さの特権です。

21時50分バンコク着。
はじめて降り立った外国です。
タイといえば、キックボクシング。ラダジャムナンかルンピニー。国民全てがキックボクサー。もし争いごとに巻き込まれたら、これはウキウキしていられない。奴らはハイキックに膝蹴りで責めてくるぞ。こちらは、やはりローキックに前蹴りで応戦、最後は目突き…、こんなことしか思い浮かびません。
なんともお気楽な入国です。

胸にはニュ−和同ツアーのバッチ、誰かが迎えに来ているはず。
大きいザックを両手に、空港のゲートを出ると…いました、「Mr.Sin Wong」。
異国で見る解禁シャツと怪しげな日本語、胡散臭くてしょうがありません。 が、頼れる人は彼ひとり。何とも情けない遠征初日です。

最初のホテル、RA-JAH HOTEL。 なんとなく隠微(淫靡??)なタイのホテル。紫を基調としてネオンが怪しさを誘います。

とにかく、くたくたでした。
倒れこむようにベットに身を投げ出し、そのまま意識不明に陥りました。

次に目を覚ました時には、窓の外が明らみはじめていました。

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